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「あなただったの」
 ドイツの山奥あたりだろうか。空気がひんやりと冷たい。かんたんな鍵がついているだけの格子の扉。すき間から腕を入れて鍵を開ける。ぶいぶんとすんなり忍び込めた。最低限の資材で作られたようなシンプルなつくりの建物。ずいぶんと古びている。うすい灰色の壁。うす暗い廊下。大きく開いた窓からは中庭が見える。芝生は手入れされている。

 廊下の途中に寝室のような部屋を見つけた。家具はなく、汚れた毛布が一枚だけ。そして窓際からひとりの女性がこちらを見ている。彼女と会話を交わしたかどうかは覚えていない。気が付いた時には彼女に腰を押しつけていた。感情の動くことのないセックスほど無意味なものはない。彼女の声も表情も何かのサービスだろう。その後どうしたかは記憶にない。

 この建物から出ようと建物の入り口へと向かう。そこには高齢の女性が立っていた。この建物の管理人だろう。小さな犬をつれたままこちらを怪しげに見つめている。「しまった、みつかった」と思わず足がすくむ。私の姿を確認した彼女は「あなただったの」と言ってやさしく微笑んだ。この年齢の女性なら力ずくで逃げられるだろうと逃げ方を考えていた私は彼女に申し訳ない気持ちになり、その場にぼうぜんと立っていた。そんな夢を見た。
by ta3jpn | 2008-06-25 19:00 |
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